ショートストーリー №27 心の闇

 私の名前は、はぁこ。とっくに死んで実体の無い猫である。私の飼い主は、いつも妄想の中で私に話しかける。ある意味、生きていた頃より私達は仲が良いのかもしれない。
 
 時として、妄想女の飼い主は私に言う。昔から、化け猫の話があるんだから、あいつを懲らしめて、私の恨みを晴らしてよ。・・・どうも、妄想女は勘違いをしているのだ。化け猫の誕生には、飼い主の『死』が不可欠なのに、彼女は今の所生きている。あるいは、猫自身が酷い殺され方をしたとか、化け猫になるには、そうなるだけの理由がなければならないのだ。

 死んだ者の怨霊も怖いけど、生霊はもっと怖いって言うじゃない?時として、妄想女はそんな事も言う。生霊を飛ばしたいなら、それこそ自分自身の問題だろう。実体の無い猫になんぞ頼らない方が良いと思う。

 あいつ、絶対に呪ってやる!時として、妄想女はそんな事も言いだす。・・・他人を呪わば穴二つ?あいつが死んでくれるんだったら、自分の寿命が縮んでも構わない!・・・なぁんて事まで言い出す。恨みで呪い殺したとしても、今の科学ではその事を証明できないから、殺人の罪は問えない筈。そんな事を呟いて、ニヤッと笑う妄想女は、幽霊猫の私から見ても不気味である。その内に、黒魔術だとか呪いの藁人形だとか、言い出すかもしれない。・・・人は皆、自分だけにしかわからない「心の闇」を抱えて生きているのかもしれない。
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※眼病手術のため、しばらく書くのをお休みします。悪しからず・・・。

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